冬になると、心臓への負担が増えることをご存じですか?
急に体温が下がると血管を縮ませて血圧が上がり、逆に体温が上がると血管が広がることで血圧が下がります。急な血圧の変動は、心臓に大きな負担をかけるため、循環器疾患のリスクが高まります。
この記事では、ヒートショックのメカニズムや症状、原因、そして予防方法について分かりやすくご紹介します。めまいや動悸、立ちくらみといった症状が気になる場合は、早めに医療機関に相談することをおすすめします。
1. ヒートショックとは?
ヒートショックとは、急激な温度変化により血圧が大きく変動し、身体に悪影響を及ぼす健康リスクです。暖かい場所から急に寒い場所に移動した時や、寒い場所から暖かい場所へ移動した時に起こるため、冬の11月から2月にかけて多く発生します。特に高齢者の方は、体温を調節する恒常性機能が低下しているため、外気の温度に合わせた体温調節機能が奏功せず、ヒートショックを起こしやすいといわれています。
2. ヒートショックの症状
ヒートショックによる症状は、軽度であれば、めまいや立ちくらみ、動悸や冷や汗が見られることがあり、安静にしていれば治ることが多いです。一方、重度になると、失神や心臓発作などの意識障害を引き起こすことがあり、最悪の場合には、脳卒中や心筋梗塞に至る危険性もあります。
3. ヒートショックの仕組み
温度差が血管や血圧に与える影響は、体の健康に重大な結果をもたらすことがあります。寒い場所に移動すると、体は体温を維持しようとして血管を収縮させます。この血管収縮によって血流の抵抗が高まり、血圧が急上昇します。一方で、暖かい場所に移動すると血管が拡張し、血圧が急激に低下することがあります。こうした急な血圧の変動は、心臓に負担を与え、循環器疾患のリスクを高めます。
4. ヒートショックを発症しやすい場所
ヒートショックが発生しやすい場所は、急激な温度変化が起こる環境です。特に10℃以上の温度差がある場所は危険とされています。典型的なのが冬場の浴室や脱衣所で、暖かいリビングから寒い浴室へ移動した際に体が急な寒暖差にさらされることで血圧が大きく変動します。また、トイレもヒートショックのリスクが高い場所の一つです。特に暖房が効いていないトイレでは、冷えた空気に触れることで血管が収縮し、血圧が急上昇しやすくなります。寒い屋外から暖房の効いた室内に入る、あるいはその逆の状況も注意が必要です。
5. ヒートショックを発症した場合の対処法
ヒートショックを発症した場合は、安静にすることが大切です。
軽度の症状であれば、しゃがむか横になることで血流を安定させ、めまいや立ちくらみの悪化を防ぎます。しゃがむ際は、転倒しないよう周囲に手をつけるなどして安全を確保します。横になる場合には、できるだけ暖かい環境を整え、毛布などで体を冷やさないようにします。
重度の症状が現れた場合や、横になっても症状が改善しない場合には、ただちに救急車を呼ぶ必要があります。この際、可能であれば横向きに寝かせて気道を確保し、呼吸が楽になる体勢をとらせることが重要です。意識がある場合でも、無理に起き上がらず体を動かさないようにし、救助を待ちながら安全な体勢で見守ることが最善です。
6. ヒートショックの予防
ヒートショックを予防するには、急激な温度変化を避け、体への負担を軽減することが重要です。特に冬場の入浴やトイレ利用時には、事前の対策を徹底しましょう。
室内の温度差を減らす
暖房器具を活用して浴室や脱衣所、トイレを適度に暖め、リビングとの温度差を小さくしましょう。また、浴室には暖房機能を設置し、入浴前にシャワーで浴室全体を温める方法も効果的です。
入浴は適切な温度と手順
湯温は41℃以下のお湯に設定し、いきなり浴槽に浸からず、手足にお湯をかけて体を徐々に温めるようにします。また、長時間の入浴は避け、体への負担を減らしましょう。
衣類や体調管理
寒い場所へ移動する際は、防寒着や靴下を活用して体を冷やさないように心がけることが重要です。また、健康状態が悪い時や飲酒後の入浴は避けるようにしましょう。自律神経は血圧の調整にも深く関わっており、そのバランスが崩れると血圧のコントロールが難しくなり、ヒートショックのリスクが高まります。そのため、体調不良や睡眠不足の際には、無理に入浴をせず体を休めることが大切です。
7. ヒートショックと循環器の関連性
急な血圧の変動は、心臓や血管に強い負担を与える原因になります。
血圧が急激に上がると、心臓はより多くの力を使って血液を送り出さなければならず、心臓の筋肉が過剰に働きます。これが長期的に続くと、心筋の疲労や肥大を引き起こし、心不全のリスクが高まります。さらに、血圧が急に下がる場合、心臓や脳への血流が一時的に不足することで、めまいや失神を引き起こす可能性があります。これが重篤な場合、心筋梗塞や脳卒中といった循環器疾患につながることもあります。
8. ヒートショックになりやすい人の特徴
高齢者
高齢者は若い人に比べて血管が硬くなりやすく、血圧の変動によるリスクが高い傾向にあります。また、皮膚の感覚が鈍くなっていることにより温度差を感じにくく、血圧が変化しやすいこともあります。体温を保つ機能が低下している場合も多いため、高齢者全般にヒートショックのリスクが高いと考えられます。
高血圧や水分補給をあまりしない人
体が水分不足になると、血管内の血流量が低下し、血管に負担がかかりやすくなります。高血圧の人は、安静時の血圧が高いだけでなく、血圧がより大きく変動しやすいことがわかっています。
薬局名:サンキ薬局本店
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監修・執筆: サンキ薬局
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