毎年、花粉症の季節が訪れと、多くの人がくしゃみや鼻水、鼻詰まりといった辛い症状に悩まされます。一時的に症状を和らげる方法として市販薬や処方薬が広く利用されていますが、根本的な治療には至らず、毎年同じ苦しみを繰り返さざるを得ない状況に陥ることも少なくありません。こうした中、新たな花粉症治療として「舌下免疫療法」が注目されています。
本記事では、花粉症の基本や舌下免疫療法の特徴と効果について紹介します。花粉症にお悩みの方にとって、少しでもお役に立てればと考えております。
1. 花粉症とは?
花粉症は、植物の花粉が原因で発症する慢性的なアレルギー性疾患です。免疫系が花粉を異物とみなし、過剰に反応することで、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状を引き起こします。さらに、喉や耳の奥がムズムズすることもあります。これらの症状は、空気中の花粉が鼻や目の粘膜に付着し、免疫系がヒスタミンなどの化学物質を放出することで生じます。
日本では特にスギ花粉症が一般的ですが、ヒノキ、ブタクサ、イネ科植物なども原因となります。花粉を飛散させる時期に合わせて症状が現れるのが特徴です。また、症状の強さは花粉の飛散量や個人の体質、生活環境によって異なります。
花粉症は、アレルギー反応の一つとして、体が花粉を「有害なもの」と誤って認識し、攻撃を始めることで起こります。本来、花粉自体は体に害を与えるものではありませんが、体の過剰反応によって、くしゃみや鼻水、鼻づまり、目のかゆみなどの症状が現れます。
2. 舌下免疫療法とは?
毎年、多くの人が花粉症によってくしゃみや鼻水、鼻詰まりといった辛い症状に悩まされます。市販薬や処方薬を使用して症状を緩和する方も少なくありませんが、これらの方法は一時的な対処に過ぎず、根本的な治療には至りません。そのため、花粉症そのものを治療する方法として「舌下免疫療法」が注目されています。
舌下免疫療法とは、アレルギーの原因物質であるアレルゲンを体内に少しずつ取り入れることで、免疫システムを適応させる治療法です。過剰な免疫反応を抑え、アレルギー症状の改善を図ります。従来の皮下免疫療法では、定期的な通院と注射が必要でしたが、舌下免疫療法では、自宅で簡単にできるのが大きな特徴です。患者は薬剤を舌の下で一定時間保持し、その後飲み込むだけで治療を進められるため、忙しい人にも適しています。
3. ヒートショックの仕組み
舌下免疫療法の効果は科学的にも証明されています。治療を開始して数ヶ月から数年の間に、花粉症やダニアレルギー性鼻炎の症状が大幅に軽減されたという報告があります。治療期間中は、アレルゲンの飛散が少ない時期に治療を開始することが推奨され、これにより治療効果をさらに高めることが可能です。
舌下免疫療法は、副作用が少ない点も注目されています。従来の免疫療法で見られる注射部位の腫れや痛みといった症状はなく、治療初期に軽い口腔内のかゆみや違和感が生じる場合がある程度です。これらの症状も時間とともに軽減し、多くの場合、治療の継続に支障をきたしません。そのため、小児や高齢者といった幅広い年齢層の患者にも安全に適用できる治療法です。
4. 舌下免疫療法の副作用
舌下免疫療法の副作用には、口の中や喉の腫れ、かゆみ、違和感などがあり、ほかにも耳のかゆみ、吐き気、頭痛といった症状が現れることがあります。特に薬を服用した直後から30分以内に起こりやすい傾向がありますが、多くの場合は数十分で自然におさまります。治療を始めてから1〜2ヶ月ほどは、副作用が出やすい時期とされているため、この期間は体調の変化に注意しながら慎重に経過を見守ることが重要です。
また、まれではありますが、舌下免疫療法においては重大な副作用としてアナフィラキシーショックが起こる可能性も否定できません。この場合、呼吸困難や喘鳴といった呼吸器症状、蕁麻疹や紅斑などの皮膚症状、吐き気や嘔吐、下痢、腹痛、視野の狭まり、血圧の低下、意識の混濁など、多岐にわたる深刻な症状が見られます。発症頻度は極めて低いものの、万一に備えて治療初期は必ず医師の監督下で投薬を行う必要があります。
5. 舌下免疫療法の推奨される治療期間
舌下免疫療法の推奨される治療期間は、一般的に3~5年間です。治療を継続することで、アレルギー症状の改善や根本的な治癒が期待されます。治療を中断すると効果が減少する可能性があるため、医師の指導のもとで計画的に進めることが重要です。また、効果を実感するまでに数か月かかる場合があり、長期的な視点で治療を受けることが推奨されます。
6. 舌下免疫療法はいつでも受けられる?
舌下免疫療法は、基本的に特定の時期に始めることが推奨されています。この治療法はスギ花粉症やダニアレルギーなどのアレルギー疾患に効果的ですが、開始時期がアレルギーの種類によって異なります。スギ花粉症の場合、花粉飛散期を避けて、一般的には6月から12月の間に治療を開始します。一方、ダニアレルギーに対する舌下免疫療法は、季節に関係なくいつでも始めることが可能です。
7. 舌下免疫療法で花粉症を改善するには?
治療を中断せずに継続することで、効果を最大限に引き出すことが可能です。また、治療中は生活環境の見直しや健康管理も重要です。例えば、室内のアレルゲンを減らすために掃除や換気を徹底することは、治療効果を高める一助となります。患者と医師が密に連携し、無理のない治療計画を立てることが重要です。
治療を検討する際は、まず専門医による診断を受け、自身のアレルギーの種類や症状に適した方法を選択することが重要です舌下免疫療法はすべての患者に適用できるわけではないため、医師に相談することが大切です。
8. 花粉症でお悩みなら医師に相談
舌下免疫療法は、花粉症をはじめとするアレルギー疾患に苦しむ患者にとって、大きな希望となる治療法です。毎年訪れる花粉の季節を迎えるたびに花粉症の症状に苦しむ方にとって、舌下免疫療法は症状を根本から軽減し、快適な生活を送るための一助となります。花粉症は市販薬で症状を抑えることもできますが、効果的に対策・治療を行う場合は病院を受診するのがおすすめです。
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監修・執筆: サンキ薬局
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